理事長ご挨拶

  日本NO学会のHPにアクセスしていただき、有難うございます。

血管内皮は内皮由来弛緩因子(endothelium-derived relaxing factors, EDRFs)と総称される複数の弛緩因子を産生・遊離して、血管トーヌスを短期的には弛緩優位に保つとともに、長期的には動脈硬化の発生・進展を抑制する極めて重要な働きをしています。広義の意味では、第一のEDRFとして1976年にプロスタサイクリン(prostacyclin, PGI2)が発見・同定されています。一酸化窒素(NO)は、主要な第二のEDRFとして1986年にDr. Furchgottらの研究グループとDr. Ignarroらの研究グループにより独立して同定されました(第三のEDRFとして内皮由来過分極因子(endothelium-derived hyperpolarizing factor, EDHF)があります)。(図1)。NO説の発表当初は、NOが公害の原因物質とされている窒素酸化物の一つであるところから、私たちの体(血管内皮)でNOが産生され、それが血管拡張をはじめとした生体に重要な働きをしていることに多くの人が驚きました。しかし、その後、研究が爆発的に進むにつれ、その広範な重要性が明らかになりました。この結果、1998年、Dr. Furchgott、Dr. Ignarro、そしてNOの血管弛緩作用機序にcGMPが関与していることを明らかにしたDr. Murradの3名の研究者にノーベル賞が授与されました(図2)。

この世界的なNO研究の高まりを受けて、1996年、米国にNitric Oxide Societyが創設され、その後、各国にNO学会が創設されていきました。日本でも、この世界的な流れを受けて、2000年5月に、20名の研究者が設立発起人となり、日本NO学会が設立されました(「設立の趣旨」をご参照下さい)。学術集会は翌年の2001年から年に1回、開催されてきています。また、この間、2003年(奈良)と2010年(京都)の2回、国際NO学会を主催しています。

本学会の理事長は、初代の谷口直之先生(大阪大)から横山光宏先生(神戸大)、赤池孝章先生(熊本大)と引き継がれ、私が4代目となります。

NO研究は1998年のノーベル賞後も世界的にますます広範な領域で活発に進んでおり、基礎的研究でも臨床的研究でも新しい知見が次々と報告されています。具体的には、血管弛緩因子・動脈硬化抑制因子としての面に加えて、シグナル分子として、私たちのほとんどの細胞の機能維持に関与していることが明らかになりつつあります。日本NO学会も、そのような流れの中で、基礎・臨床の両面で貢献していきたいと思います。

多くの皆様が本学会の会員になっていただき、日本から世界に向けて、NOに関する情報発信を行っていきたいと思います。

(図1)

(図2)

 

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