日本心身医学会ロゴマーク 第46回日本心身医学会総会ならびに学術講演会 -わが国の心身医学の世界に向けての発信-
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第46回日本心身医学会総会会長挨拶

 平成17年8月21〜 26 日に第18回世界心身医学会議が神戸で開催されます。昭和 52年、第4回国際心身医学会が恩師の故池見酉次郎先生を組織委員長に京都で開催されました。その時のテ−マは「臨床医学の中核としての心身医学―その教育・研究・実践」でした。日本心身医学会会員が一致団結して取り組み、大成功裏に終った光景をありありと憶えています。

 第46回日本心身医学会総会はわが国で開催されます2回目の国際会議の3か月前に開催されます。世界心身医学会議が成功裏に終わるよう、テ−マを「わが国の心身医学の世界に向けての発信」といたしました。

 西洋文明は多くの分野で行き詰まり、欧米の知識人たちは東洋、とくに日本からの発信を求めています。わが国は米国に追随するばかりです。あらゆる領域が良い悪いはともかくとしてその影響を受けています。そのような中で、わが国の心身医学は独自の医学を目指しました。 わが国の心身医学の基本に流れるテーマは、全人的医療の診療・教育・研究の実践および西洋医学と東洋医学の統合のための架け橋になる、ということだったと思います。過去形で言いましたのは、今や日本の心身医学は、本来のフィロソフィーとはまったく異質の米国追随の医学に進んでいるように思うからです。今回の学会のテーマはこのような願いが含まれています。 決して過去に戻ろうと言うわけではありません。「根源」を見直し、そこから新たな日本独自の心身医学を未来に向かって創造し世界に向けて発信したい、そう願っています。


関西医科大学心療内科学講座教授 中井 吉秀

特別講演 は哲学者の 梅原 猛 先生に、わが国の仏教を通して世界に向け伝えたい日本人の心についてお話いただきます。今回のテーマに最も相応しい講演をしていただけると思います。

海外招聘講演 は二人の方にお願いいたしました。お一人はハイデルベルグ大学内科・心身医学科の Wolfgang Herzog 教授に、「ドイツの心身医学の―過去、現在、未来―」と題してお話いただきます。心身医学はもともとドイツで誕生しました。 ドイツではわが国と同じく内科医をはじめとした身体科医が中心となりドイツ独自の心身医学として発展しました。1976年、当時のハイネマン大統領の命により全ての医科大学と医学部に心身医学が医学教育の中に組み込まれ、国家試験にも必須科目として出題されています。統一後も数校を除く全ての医科大学・医学部に心身医学講座が存在します。 このような講座が医科大学、医学部にあるのはドイツと日本だけです。もうお一方は、元ハーバード大学医学部助教授で現在は執筆活動に専念されている李 啓充先生に、アメリカの医学・医療の光と影について、「市場原理と医療〜米国の失敗から学ぶ」と題してお話いただきながら、日本の医学・医療への提言をしていただこうと思っています。

講演 にはお二人の方をお招きいたしました。お一人は哲学者で京都大学大学院人間・環境学の 小川 侃 教授です。先生には先生にはギリシャ哲学を起源とした西洋哲学の考えのなかにも“身”という概念があり、環境と身がどのような関係にあるのかについて「環境と身の現象学」と題してご講演いただきます。もうお一方は基礎医学の領域から、富山医科薬科大学和漢薬研究所の 済木 育夫 教授に「漢方に学ぶ複雑性〜ストレスと漢方薬」というタイトルで漢方のもつ複雑性についてご講演いただきます。

教育講演 では九州大学名誉教授で元日本心身医学会理事長の 中川哲也 先生に、わが国の心身医学の歴史について、「日本の心身医学を振り返って―その歴史と思い出を語る」と題してお話いただきます。わが国の心身医学の歴史をご存知ない会員が多数を占めているものと思います。もう一度原点に戻り、わが国の心身医学の将来と世界に向けて発信すべき点はなにかを考える機会になるものと思います。

シンポジウム はテーマに沿った4つを組みました。

  1. 「第18回世界心身医学に向けて-わが国の心身医学を伝える」
  2. 「心身医学の研究方法の開発を目指して-要素還元主義による研究を乗り越えて-」
  3. 「心身医学と社会、環境との関わり-心身相関の医学より一歩先へ」
  4. 「卒前・卒後教育に果す心身医学の役割-全人的医療の教育を目指して-」

の4つです。 それぞれのシンポジウムの趣旨について下記に記載しておきます。

シンポジウム の趣旨

  1. 「第18回世界心身医学に向けて-わが国の心身医学を伝える」

  2. 世界心身医学会議において、諸外国の心身医学者にわが国独自の心身医学をどのように伝えていくかについて発表、議論し結論を出していただきたい。

  3. 「心身医学の研究方法の開発を目指して-要素還元主義による研究を乗り越えて-」

  4. 原因―結果といった要素還元主義による研究方法から biopaychosocial medical model に相応しい研究方法について発表、議論し結論を出していただきたい。

  5. 「心身医学と社会、環境との関わり-心身相関の医学より一歩先へ」

  6. 心身相関についてはこれまで多くの発表や研究がなされてきました。今後の心身医学には、社会や環境との関わりがテーマになってくるはずです。この点に絞り発表、議論し結論を出していただきたい。

  7. 「卒前・卒後教育に果す心身医学の役割-全人的医療の教育を目指して-」

  8. 心身医学の重要な役割に全人的医療の卒前・卒後の教育があげられます。とくに研修制度が大幅に変わりましたので、各領域における将来への具体的な展望や計画について発表、議論し結論を出していただきたい。

パネルディスカッション に「医療心理士に必要な継続研修」を引き続き取り上げました。今年よりスタートする医療心理士の認定制度に向けて、また、今後の方向性について議論をしていただきます。パネル終了後に「医療心理士の集い」を組んでおります。医師と心理士の方々のコミュニケーションと情報交換の場としたいと考えております。

特別企画 としてつぎのような二つを企画いたしました。

(1)  フォーラム「いのちの科学―文理融合の“ヒト学”を目指して」
    いのちの科学プロジェクト委員会
     ( 慢性疾患・リハビリテ−ション研究振興財団、(財)体質研究会 )

委員会メンバ― :

代表 鳥塚莞爾(核医学)、顧問 菅原努(放射線生物学)、主査 内海博司(放射線生物学) 、副査 山岸秀夫 ( 分子生物学 ) 、 委員 小川侃 ( 現象学的哲学 ) 、桜井芳雄 ( 実験心理学 ) 、大東肇 ( 食品化学 ) 、中井吉英 ( 心療内科学 ) 、西田利貞 ( 自然人類学 )、渡邉正己(放射線生物学)

 1999年に菅原 努京都大学名誉教授を中心に「要素非還元主義に基づく健康効果指標の研究」の委員会である「健康指標プロジェクト委員会」が発足いたしました。委員会は5年間続けられ私もその委員の一人でした。幅広い領域の講演を中心に会は進められましたが、多くの要素が集まっただけで、それらの関係性を明らかにはできませんでした。 結局、自然科学者だけでは要素還元主義から一歩も出られなかったのです。そこで理科、文科の壁を取り払って、一緒に「いのちの科学」を考えようと「いのちの科学プロジェクト」が発足いたしました。委員会のメンバーの承諾を得て本学会でフォーラムを開催することにいたしました。

(2)  症例ディスカッション

 アンケートで最も多かったのが症例ディスカッションでした。生活習慣病の代表として「糖尿病」を、各科に関わる代表的症状として「慢性疼痛」を、呼吸器・アレルギー疾患の代表として「気管支喘息」を、心療内科医、精神科医、心理士の領域に関係した病気の代表として「摂食障害」を取り上げました。1症例をもとに、会場の会員の皆さまと一緒に議論していただきたいと考えています。


一般口演、ポスター
内容の充実した演題が集まりました。国際学会を控え応募者は少ないと思っていましたところ、公募のシンポジウムも含めますと209演題が集まりました。その内、193演題が一般口演とポスターセッションに回ることになります。学会場が4会場しかないため、一般口演を希望し応募していただいた方すべてに口演していただくわけにいかず、ポスターセッションに回っていただきました。一般口演を希望された会員の方には申し訳なく思っております。プログラム委員の皆さまに査読いただき、 その中から第18回世界心身医学会議の演題として推薦いただきました。推薦された会員の方にはその旨通知し、世界心身医学会議に是非とも応募いただくよう通知いたしました。

教育セミナー (モーニング、ランチョン、イブニング)
10名の演者の方に、それぞれのテーマに関する最新の話題についてご講演いただきます。

 奈良は日本文化発祥の地です。今回のテ−マに最も相応しい場所として奈良市を選びました。 5月の奈良は新緑の最も美しい季節です。会場は奈良公園の中にあり、校倉造をイメージした建物です。第一会場は能楽堂で趣のある会場です。会期中に能楽とチェロ演奏の時間を取りました。 また、懇親会は天候が良ければ屋外で行います。会場周辺には、東大寺、二月堂、三月堂、正倉院、興福寺、春日大社、奈良国立博物館などが直ぐ近くにあります。 多くの会員の皆さまに喜んでいただけると思います。



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Shince 1999-06-27 Last Update 2004-10-25